建物内の環境が衛生的に保たれていれば、利用者の方は気持ちよく健康的にすごすことができます。建物内の環境が不衛生であれば、利用者の方は心身の健康を害し、病気になってしまう場合もあります。建物の中には給排水や空調の設備があり、密閉された建物空間の中ではそれらの衛生状態が悪化しやすく、シックビル病やレジオネラ症を発症する危険があります。「衛生管理業務」は建物内の衛生的環境を整え、利用者の方の健康を守るためにとても重要な業務で、「ビル管理法」という法律によって管理方法が定められています。
「ビル管理法」について
建物の管理を行う上で、深く関わってくる法律の一つに「ビル管理法」(※1)というものがあります。ビル管理法では、不特定多数の方が利用する一定規模以上の建物を特定建築物(※2)と呼び、良好な環境衛生状態を保つための衛生管理業務についての内容を定めています。ビル管理法の中では、特定建築物維持管理権原者(※3)が、「ビル管理技術者」(※4)を選任してビル管理法に定められている基準に従い管理を行うよう定められています。管理の内容は、空気環境の管理、給水・排水についての管理、清掃及びねずみ・こん虫等の防除などです。 私ども関ビルでは、経験豊富なビル管理技術者が多数在籍しており、多くの特定建築物のオーナー様からのお悩み・ご相談に対応させて頂いております。衛生管理業務では、利用者の方の健康はもちろん、建物自体を健康に保つ気持ちを持って取り組むことが重要です。
※1「ビル管理法」
特定建築物の維持管理に関し、衛生的な建物環境を保つために必要な管理内容を定めた法律のこと。正式には「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」という。
※2「特定建築物」
延べ面積が3000㎡以上の事務所・店舗・集会場等及び延べ面積が8000㎡以上の学校施設等のこと。多くの不特定多数の方が利用することから、衛生的な環境を維持するようビル管理法で定められている。
※3「特定建築物維持管理権原者」
オーナー様、占有者(一棟借りしているテナント様)、管理権原者(管理を総合的に委託されている管理会社)のこと。特定建築物の維持管理の責任者として、ビル管理技術者を選任して環境衛生上の管理を適切に行わなければならない。
※4「ビル管理技術者」
ビル管理法に定められた環境衛生管理業務についての知識を有し、試験や法定講習を受けて厚生労働大臣より免状を与えられた者のこと。管理業務計画の立案・指揮監督・建物オーナー様等への助言及び指導などを行う。正式には「建築物環境衛生管理技術者」という。
空気環境測定
空気環境測定とは、室内の空気環境がビル管理法の基準に適合しているかどうかを確認するための測定です。特定建築物において、ビル管理法によって実施が定められており、測定項目は6項目(温度・相対湿度・気流・浮遊粉じんの量・一酸化炭素の含有率・炭酸ガスの含有率)あります。それぞれの項目を各階ごとに測定し、数値に異常があった場合は改善の措置をとらなければなりません。
給排水の管理
貯水槽清掃
貯水槽清掃とは、建物に給水を行うために設けてある貯水用タンクの清掃のことです。貯水槽には、建物の地下や1階に設置される受水槽、屋上に設置される高架水槽、高層の建物で中間階に設けられる中間水槽等があり、特定建築物においては清掃・消毒作業・水質検査を行うようビル管理法で定められています。また、特定建築物ではなくても、貯水槽の有効容量が10㎥を超える場合は年に1回以上の作業を行うよう水道法で定められています。
水質検査
水質検査とは、建物内に給水されている水やお湯について、人体に害のない水質であるかを確認するための検査のことです。特定建築物においては、上水(飲料水)については一般項目(16項目)の検査を半年に1回、消毒副生成物(12項目)の検査を年に1回実施するようビル管理法に定められおり、中水(再生水でトイレの排水等に使用される水)や雑用水においても別項目の検査が定められています。また、水の殺菌をする残留塩素の濃度についての測定も行うこととなっており、こちらは頻度が高く7日以内ごとに1回行うよう定められています。
排水槽清掃
排水槽清掃とは、建物の地下にある排水を溜めておく槽の清掃のことです。排水槽には、汚水槽(トイレ排水)・雑排水槽(トイレ以外の排水)・雨水槽・湧水槽(地下の湧水を溜める槽)・浄化槽(下水が整備されていない地域に設置されています)などがあり、臭いや害虫の発生を防ぐため清掃・消毒などを行うようビル管理法に定められています。
排水管清掃
排水管清掃とは、建物の排水に使用されている配管の清掃のことです。高圧洗浄車(高圧洗浄機)から伸ばしたホースを、トイレ・洗面台・浴室・キッチン・洗濯パン等の排水口や掃除口から排水管の中に入れ、内部を高圧洗浄致します。作業は、建物内の縦管・横引き管(排水器具から縦管までの排水管)及び、建物から公設ますまでの排水管が対象となります。洗面台やトイレなどでホースを通せない部分については、手動ポンプや薬品による洗浄を行います。
害虫防除
害虫防除とは、ビルに発生する衛生害虫(ゴキブリ・ハエ・ネズミ等)の生息調査と駆除作業のことです。半年以内ごとに1回、害虫の生息場所や侵入経路等の調査を行い、発生が確認された場合はただちに駆除を行います。害虫は一度発生すると繁殖を繰り返し、病原微生物を建物内のいたるところにまき散らしてしまいます。害虫防除は、ビルの利用者の方々の健康を守るために、とても重要な作業です。